『ほほえみ』







前書き







この小説を読む前に、お断りしておかなければいけない事があります。
それは、この小説は、一言で言うと、"不倫"を題材にしております。
不倫という言葉に嫌悪感や、不快感をお持ちの方は、読んでも理解しにくい内容であることを申し上げておきます。
付け加えて言うならば、不倫そのものが理解出来ないという方は読まないで頂きたいというのが私の本音です。


<<前書き本題>>

…と言いつつ、実をいうと、私自身、不倫という言葉が嫌いです。
あえて言うならば、どうしても理解出来ませんでした。
しかし、私のごく身近なところで、主婦の恋愛話が聞かれるようになり、多くの主婦の方々と話をする内に、不倫という一言で済まされないものが見えてきました。
この小説のヒロイン熊谷詩織は私のごく身近な友人をモデルにしています。
今回、彼女の承諾を得て、話を幾らか飛躍させながら、書き出していますが、彼女を身近で何年も見てきた私は、彼女の中に潜むたくさんの彼女を目の当たりにしました。
そして、彼女は自分に正直であるが故に多くを悩み、苦しみ、長い年月もの間、彼と別れる事が出来ずにいるのだと思ったのです。
幸せな家庭を築いていかなければならないという主婦に課せられた己の定めに、女として、何かを失いつつあるという不安、、女として、認めてもらえるものが欲しい、忙しい毎日の中で、ほんの一瞬でも、自分が唯一違う自分になれる場所。
彼女は彰と出会うことにより、少なくとも、決められたレールの上を歩く自分の他に、違う自分のレールを見つけ、そこに反れてしまったことにより、本来の自分を見る事が出来たのかもしれません。
詩織の中に潜む、多くの詩織、詩織自身知らなかった自分に出会う事によって、詩織は今家族と再び幸福に暮らし、後悔の思いを抱く事無く日々を送れるのでしょう。
詩織の思いはそれでも、永遠に彼、彰から離れることはないのは、本当に彰を愛していたから、また、本当に家族を愛していたから、そして、本当にそんな自分が好きなんだと、傍にいた私はある種、羨ましくもありました。
彼女のこの恋愛を見てきた私は不倫は不倫じゃなく、ただ単に普通の恋愛であると、思うようになったのです。

不倫に関して、賛否両論あると思いますが、不倫ではなく、一人の女として、彼女がどのように家族、彼を愛したかを"ほほえみ"を読んで、感じて頂けたら、幸いです。








2004・5







haori





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